収納を織り込む暮らしの設計って、こういうことだと思った朝
建築学部に通う娘が読んでいた本を見て、思わず笑ってしまいました。

『時間を織り込む住宅設計術』
あれ、私、
収納を織り込んだ暮らしの設計士
って書いているんだけれども、と。
もちろん、言葉としては全然違うのですが、
でも、どこか通じるものがあるなと思いました。
住宅の設計というのは、
ただ間取りを考えたら終わり、ではありません。
耐震性もいる。
断熱性もいる。
長期優良住宅の視点もいる。
収納もいる。
法規制も守らないといけない。
そして、その先の暮らしまで考えないといけない。
図面の中だけで完結する話ではなくて、
その家でどんな毎日が流れていくのかまで想像することが、
本当の意味での設計なのだと思います。
そんなことを、娘の本を見ながら、朝からいろいろ考えていました。

そこへ起きてきた娘の膝に、
我が家の大きなプードルが、ぴょんと飛び乗る。
毎朝見ている光景なのに、
その日はなんだか可笑しくて。
角度によっては、ちょっとキツネみたいにも見える(笑)
でも、こういう何気ない一コマこそ、
暮らしそのものなのだと思います。
家というのは、
こういう時間が流れる場所です。
ただ見た目がきれいな家ではなく、
こういう日常がちゃんと受け止められる家。
人も、物も、動線も、気持ちも、無理がない家。
私はたぶん、
そういうものを設計したいのだと思います。
最近、改めてそれを強く感じる出来事がありました。
間取りのセカンドオピニオンを受けたお客様に、
私が収納を織り込んだ図面を提案した時のことです。
お客様から
「やっと納得がいきました」
と言っていただきました。
その時に、
ああ、これはやっぱり私にしかできない仕事なんだな、
と改めて思いました。
設計の経験がある。
ライフオーガナイズの知識がある。
実際にたくさんのお家に入り、
暮らしの現場を見てきた。
産後ドゥーラとしても、
たくさんのお客様の人生の途中に関わらせていただいた。
家の中で何が起こるのか。
どこに物が溜まるのか。
なぜ片付かないのか。
何に困っているのか。
本当はどうしたいのか。
私は、それを図面の外側でずっと見てきました。
だから、
ただ収納を増やすだけではなく、
そのご家族の暮らしに合った収納を、
最初から間取りに織り込んで考えることができます。
言葉で言うのは簡単です。
でも実際には、
設計だけ知っていても難しい。
片付けだけ知っていても難しい。
図面が描けるだけでも足りない。
暮らしを読む力、
話を聞く力、
動線を考える力、
収納量を判断する力、
そしてそれを設計図書に落とし込む力。
全部いる。
だからこそ、
これは簡単に真似できることではないのだと思います。
先日、2年近くサポートさせていただいたお客様から、
スターバックスのギフトカードをいただきました。
「奥野さんは、毎日仕事と家事と犬の散歩に追われているから、
ゆったり一人でスタバでコーヒーを飲んでください」
そんなお気遣いの言葉と一緒に。
ありがたくて、嬉しくて、
でも実は、私はこういうのがちょっと苦手です(笑)

スタバに行くこと自体が嫌なのではなくて、
何をどう注文したらいいのか、
毎回ちょっと緊張する。
しかもこのギフトカード、
1回500円ずつ使って、あと4回。
行けばいいだけなのに、
私にはなかなかハードルが高い作業で、
それにもまた笑えてしまいます。
そういえば、そのお客様はいつもモバイルオーダーを使っていたなと思い出し、
私もアプリをダウンロード。
事前に何を飲むか決めてから、カウンターへ行きました。
たぶん、こういうことなのだと思います。
人にはそれぞれ、
得意なことと、
少しハードルに感じることがある。
ほんの少し仕組みがあるだけで、
スムーズにできることがある。
家づくりも同じです。
片付けが苦手なのではなく、
片付けにくい仕組みになっているだけかもしれない。
暮らしにくいのではなく、
その人の生活に合っていないだけかもしれない。
だから私は、
その人が無理なく回せる暮らしを考えたい。
収納を増やすことだけが目的ではなく、
毎日の時間や動きや気持ちまで含めて、
暮らしが自然に回るような設計をしたい。
娘の本を見て、
犬の姿に笑って、
お客様の気遣いにじんわりして、
スタバで少し緊張して。
そんな何でもない出来事の中で、
私は改めて思いました。
私は、
収納を織り込んだ暮らしの設計
をしているのだと。
図面だけでは見えないことを見て、
言葉になっていない困りごとを拾い、
その人の暮らしに合わせて、
形にしていく。
それが、
今の私の仕事なのだと思います。
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