改装したお店が、また新しい歴史を刻み始めました。
昨日は、一昨年に改装工事をご依頼いただいた、
北新地のジルベール・ベコーへ伺いました。

もともとは、プロのシャンソン歌手・出口美保さんが営まれていた老舗のお店。
ライブとお酒を楽しめる、大人の時間が流れる場所でした。
出口美保さんは最期まで現役を貫かれ、昨年突然のご逝去。
その想いを受け継ぐ形で、
現在は娘さんがオーナーとしてお店を引き継がれています。
その節目に、
改装工事という形で関わらせていただけたことを、
とても嬉しく思っています。
今回は、そのお店で開催された

「蓄音機で楽しむシャンソンの世界」
というイベントに参加してきました。
90年前のアメリカ製蓄音機で、
一枚一枚レコードをかけながら音楽を楽しむ、
とても贅沢な時間です。

解説をされたのは、レコード文化史研究家の池九州男さん。
素敵なレコードジャケットを一枚ずつ紹介しながら、
なぜ蓄音機やレコードに魅了されたのかというお話も聞かせてくださいました。
きっかけは、中学生の頃。
吹奏楽部で老人ホームを慰問することになり、
ご高齢の方々が青春時代に聴いていた音楽を探したことだったそうです。
そこから蓄音機の世界に惹かれ、今ではその魅力を伝える活動をされています。
お話もとても分かりやすく、
知識の深さだけでなく、
その穏やかな語り口にも惹き込まれました。
当日は、念のため日本製の蓄音機も用意されていましたが、
実際に90年前のアメリカ製蓄音機から流れてきた音は、
本当に驚くほど深く、温かい音色でした。
CDともスピーカーとも違う。
針が溝をなぞる音まで含めて、一つの音楽なんだと感じました。
蓄音機は、途中でゼンマイを巻かなければ止まってしまいます。
参加者が一人ずつゼンマイを巻き、
その手間さえも楽しみながら音楽を聴く。

便利さとは違う、時間そのものを味わう豊かさがありました。
約3時間、お酒をいただきながら、一曲一曲に耳を傾ける時間。
今の時代だからこそ、とても贅沢な時間だったように思います。

私は設計の仕事をしていますが、建物は完成したら終わりではありません。
その場所で人が集い、笑い、音楽が流れ、新しい歴史が積み重なっていく。
その舞台をつくることが、設計という仕事なのだと思っています。
今回、お店が新しく生まれ変わり、
また新しい文化や人との出会いが育っていく姿を見ることができました。
出口美保さんが築き上げたお店を、
娘さんが受け継ぎ、新しい形で育てていく。
その大切な節目に、
ほんの少しでも関われたことを、改めて幸せに感じた一日でした。
人が自分らしく過ごせる場所をつくること。
これからも、そんな空間づくりに携わっていきたいと思います。
家づくりについてのご相談やご質問がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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