先日、奈良の監獄ミュージアムへ行ってきました。

明治時代に建てられた赤煉瓦の建物。
かつては少年刑務所として使われていた場所で、重要文化財。
現在は保存・活用され、星野リゾートによるホテル計画も進んでいます。
建物は放射線状に配置され、中央から全体を見渡せる構造になっています。
建築に携わって来た私にとっても、とても興味深い空間でした。

けれど、この日の訪問は建築を見るだけの時間ではありませんでした。
実は今回、一緒に訪れたのは私の友人と、
同級生の奥様でした。
その同級生とは、小学校、中学校、クラブ、そして予備校まで一緒でした。
彼が東京への就職を決めてからは会うこともなくなり、
一昨年の同窓会で実に30年ぶりに再会しました。
とってもモテていた人で
相変わらずスマートで、優しくて、人に自然と気を配れる人でした。
再会をきっかけに、
小中学校時代の仲間たちと何度か食事に出掛けるようになったのですが、
私は義母が亡くなった直後だったこともあり、今年に入ってからは参加を見送っていました。
そんな中で届いた突然の訃報。
本当なら、これからまた会えると思っていました。
「また今度なっ」
そんな時間が続いていくものだと思っていました。
お通夜と偲ぶ会で奥様とお会いし、
なぜか自然に「一緒に行きませんか」と声を掛けていました。
本当なら夫婦で一緒に来るはずだった場所です。
そして同行した友人も、最近お母様を亡くしたばかりでした。
それぞれが大切な人との別れを経験した者同士の奈良行きになりました。
長い廊下を歩きながら、並ぶ独房を見ながら、色々なことを考えました。

誰も最初から罪を犯そうと思って生まれてくるわけではありません。
ここにいた少年たちも、誰かに愛され、誰かの希望として生まれてきたはずです。

そう思うと・・・前日に参加した講演会のことが重なりました。
「生まれてきてくれてありがとう」
「人は何のために生まれてくるのか」
そんなテーマの講演会でした。
何かをやりたいと願い、
その結果として誰かの役に立ちながら生きている。
そう考えると、自分の人生も不思議なものだなと思います。
振り返れば、10代の頃が一番しんどくて辛い時間でした。
その頃の苦しさや生きづらさを抱えたまま大人になり、
そのまま人生後半戦まで持ち越そうとしていました。
ところが子ども達の問題や家族のこと、自分自身の仕事のこと。
様々な出来事に向き合う中で、
少しずつ自分の中の黒い靄が晴れていった。
帰りの車の中では自然とそんな話になりました。
私の使命は何だろう。
人生の後半戦をどう生きるのだろう。
答えはありません。
でも、一つだけ思ったことがあります。
人生は思っているより短い。
だからこそ、
会いたい人には会い、
やりたいことをやり、
自分に与えられた役割を精一杯生きる。
そんな当たり前のことが、実は一番大切なのかもしれません。
奈良監獄ミュージアムは、罪や罰を学ぶ場所というより、私にとっては「生きる意味」を静かに問いかけてくる場所でした。 


